茨城民俗学会代表理事 今瀬文也
新年おめでとうございます。平成二十二年の新しい年を迎えたが,世の中の情勢が混沌としていて,不安でいっぱいである。
スーパーに並ぶ米をはじめ野菜・果実など値崩れして,生産者の生活にも大きな影響を与えている。
常陸太田で名物納豆を生産していた会社がまさかの倒産,安売りについていけなかったのである。『茨城の民俗』四八号は「食」特集を組んだ。今,生活で一番関心のあるのは,食のことである。
先日,日本地域活力研究所の長谷山俊郎さんから「健康はみんなの足下にある」の資料をいただいた。日本の食事は医食同源というが,土・農・食・医同源なのである。
戦後の日本人の平均寿命は大きく伸び,約二0年前から女性は世界トップになっている。労働環境,住環境の改善・検診の浸透・食糧事情の改善がされたことによる。食養学の祖の石塚左玄は「命は食にあり,百の薬より食」を論じ提唱した。「身土不二」といい土地のものを食べることに健康になると重なる面がある。
有機農業とは「命の働きで命を生み出す農業」であり,微生物や土壌動物を意味しているが,微生物はミネラルを用いて酵素を作っている。それ故,生命力のある農産物はミネラルに富み,酵素に富んだ旬の農産物である。それが免疫力を高め,病気を抑制する。
ひたちなか市の海浜公園に民家を復元している。今回建造中の民家は稲敷市下太田にあったもので,農家体験施設付属家として活用するのが目的である。本家,隠居の二棟が来年五月までに完成する。宝永三年(一七0六)に建てられたもので,学術的に貴重な遺構で,できるだけ建立当初の姿に復元することになっている。
現在,集会所が復元されているので,三棟が完成することになる。景観上も工夫を凝らしている。土蔵蔵,板倉,井戸,屋敷林,屋敷畑,屋敷神などを整え,環境も昔の姿になる。