講演要旨
テーマ1 表札
表札は,一家を象徴する「モノ」として,一般民家の玄関・門・大戸口上部にかけられています。掲示されるようになったのは,明治5年(1872)からで,130年ほど前のことです。それまでは,大名・武家の門にしか掲げることが許されませんでした。表札は,それ以来一家を象徴するものとしての意味をもつようになり,つまり「姓名」が家制度の認識とされることになり,一家を代表する戸主のみが表示されたのです。
「姓名」は毛筆で行書体,縦書き,戸主名は男・跡取り(総領)と決められました。表札の大きさは,主に長さ21センチ,巾8.5センチ,厚さ3センチ,さくら,けやき,いちいの木が用いられました。表札は堂々と正面に明示されていますので,家の存在を確立し,アピールするためになくてはならない「モノ」として,家としての一つの意味づけを与えてくれます。
昔風から現代のモダンなもの,種々の形を見ながら,表札の民俗学的意義と生活の変わりゆく姿を議論したいと思います。
テーマ2 茨城県の安産・子育て信仰
「お産は棺桶に片足を突っ込んでするもの」と、戦後まで言われ続けました。医学が未発達であった時代、出産で命を落とす女性や子は少なくありませんでした。そのため神仏への安産祈願は盛んで、集落の女性たちにより観音講・子安講・地蔵講・不動講などが組織されました。また、安産祈願に霊験あらたかな寺社への参詣や石仏・石塔の建立もなされ、それらは今なお続いています。さらに病気や怪我による乳児死亡率の高さは、現在と比べようがないほどで、母親は必死でその命を守りました。
茨城県の江戸時代から現在に至る盛んな安産・子育て信仰を、古文書・石仏・民俗を基に紹介させていただきます。そして、その裏にある女性の喜びと悲哀を考えていきたいと思います。
※今後の談話会予定
第135回談話会
・日時 平成21年11月29日(日)午後1時
・場所 茨城県立歴史館講堂
@ 「いわしの話」 黒澤利康 さん(本会会員)
A 「常陸太田の梨」 渡辺敦子 さん(本会会員、茨城キリスト大学教授)
第136回談話会
・日時 平成22年 1月31日(日)午後1時
・場所 茨城県立歴史館講堂
○ 日 時 平成21年8月30日(日)
午後1時〜午後4時ころまで
○ 会 場 茨城県立歴史館 講堂 (水戸市緑町)
○ 演題,講師
1 「表札」 斉藤 重 さん(本会会員)
2 「茨城県の安産・子育て信仰」 近江 礼子 さん(本会会員)