カヤの信仰

 カヤについては、かつて更科公護氏が研究した。それらを参考にまとめてみた。
カヤとは葺草の総称で、チガヤ・ススキ・オギ,マコモ・ヨシ(アシ)・スゲ・ガマなどすべてがカヤである。ススキは穂の出たもの、スゲは茅管、菅茅と同じだがすがしいという意味だという。また、ヨシとアシの関係は一般にわい小のものをアシ、長いものをヨシとよんで、質のよいという意味もあるらしい。
 茅葺の住居にもあてはまることである。中国ではカヤを白茅・黄茅・青茅の三種があるとし、白茅は屋根を葺き、黄茅は縄をなうものとし、青茅は祭祀の時神の降臨を請うため酒をその上にこぼすのに用いたという。
 カヤには四つの要素がある。一つは神聖なものとしてのカヤ。二つは清浄なものとしてのカヤ。三つは邪気を祓う霊力のあるカヤ。四つが繁殖の霊力をもつカヤである。
 まず神聖なものとしては、今の青カヤの故事である。アシの芽から神々が生まれたというのは「古事記」の話や、宇佐八幡の御神体の分霊がマコモで作られていること、ヨシやススキの穂は神の依代となることか
らいろいろなことでいえることである。
 清浄なものとしてのカヤの見方は、青屋様の祭りのススキの仮屋をはじめ、諏訪大社の御射山祭りのススキの屋舎、津島神社のオミヨシサンのヨシの仮屋など、祭りの時のお仮屋を作る材料として使われてい
る。また、氏神の祠を造ったり、神にお供えものをするときのムシロや敷物にも使われる。中国ではマコモの敷物は帝王のものであった。
 邪気を祓う霊力についてはアシの穂を弊束にして使用した例がある。諏訪大社の御射山祭りには、玉串としてコブシの枝にススキの穂二本をつけて供える。又、参拝者にはお守りとしてススキの穂一本を授ける。
さらに、ヨシの茎を用いて、分霊の御神体としたり、魔除けの幣束の芯とする。

 昔は注連縄の縄もチガヤでなったという、そしてしめ縄は水を注ぎ,清めてからなったという。中国では葬式の時、亡鬼が再び帰らないように魔除けの幣束を張ったと伝えている。
 茅の輪くぐりは身についたけがれや災難をはらって、長生きするという習慣で輪をくぐる時に「六月の名越の祓いをする人は千歳の命のぶというなり」の歌がある。
 六月と十二月の晦日に行う。材料はチガヤが多く、ススキやヨシ。マコモを使うが大晦日にはワラを使うこともある。

 繁殖の霊カとして、姫島の可島神社では社では、開墾しようとしたら一株の大ススキがあったので除いて田にしても翌朝、再び元の所に大ススキが生えていたので、神社を建てた。そして、大ススキが祭神となったという。佐賀県の伝説では昔、葦田村があって、周囲一尺二寸、高さ天を突く大葦が一本、一夜に生えたので、葦を御神体として葦筒神社を建てたという。これはカヤの繁殖力の強さを表したものである。
 カヤの繁殖力にちなんだ農耕儀礼がある。鍬入りがそれで、正月十一日の早朝、ススキの穂十二本を田畑にさして供物を供えるのも、ガヤの繁殖力にあやかろうとしたものであやかろうとしたものである。
苗代のヨシの棒を立てたり、初田植えにヨシやススキの穂を立てたのもこのいわれだったのだろう。
お産の時、ヨシをお守りにする所もあった。
 茅葺屋根では屋根を葺く草の総称で最初に述べたカヤとは名称が異なるので紹介しておく。ススキの他にヨシ(葦),カリヤス,シマガヤ・チガヤ等のイネ科の多年草、麦ワラ・稲ワラ等の穀物の茎、麻殻、笹等の手近に入手できる材料が使われてきた。