茨城は農業県
今瀬 文也
一九三八年の「茨城県勢要覧」は三十七年の茨城の様子を伝えている。その中から、農業について探ってみる。
農家戸数は187,277戸で総戸数の六割五分で全国七位になっていた。耕地面積は全国第三位で、豊かな土地が自慢であった。一戸当たりの平均耕地は一町二反だった。
本県の総生産額は二億九干万一一0六円で、全国二十六位だが、農産物生産総額は一億三千五百七一万八千六九一円で、全国第二位であった。このうち、米は六千七七三万八二五七円で、それに麦と繭がつづいている。
米は水稲と陸稲に分かれ、水稲は作付九位、収穫十一位、陸稲は両方とも一位、姜は大麦と小麦が作付、収穫一位、裸麦の生産高は二十一位であった。大豆は全国三位でかなりの収穫をあげていた。
この大豆であるが、前にも述べたが、納豆、醤油、味噌つくりに欠かせない原料を茨城で生産したいものである。
ところで、最近、地産地消が話題になっており、昔の疏菜の産地を話題にしている。
カボチャは全国五位の収穫をあげている。干潟南瓜の産地、矢田部村・若松村(神栖市)。早生菊座、籠甲南瓜の産地、新郷村、勝鹿村(古河市)。菊座南瓜の産地で東北に移出、国分村(日立市)。縮緬、菊座の産地として作岡村(つくば市)坂本村(日立市)があげられている。現在は、都カボチャが主流で菅谷(那珂市)江戸崎かぼちゃが主流である。
西瓜は鹿島が中心である。鹿島西瓜、大和西瓜、新大和鹿島西瓜(甘露西瓜)など甘味豊かで好まれた。産地は、軽野村(神栖市)である。そのほか、諏訪村、大谷村(鉾田市)高松村(鹿嶋市)若松村(神栖市)、前渡村、佐野村(ひたちなか市)、村松村(東海村)があ
げられ、小玉西瓜の産地の筑西市はみられない。
胡瓜には青節成、早生節成、青大胡瓜があり、国分村、新郷村、稲荷村(水戸市)が産地としてあげられている。促成胡瓜の品種は落合節成といい、西茨城郡など中心に行われていた。
大根は漬物大根として浮島村(稲敷市)、柳河村・山根村・緑岡村(水戸市)などがあげてある。
牛莞の品種は赤茎牛蒡で組合を組織して出荷していた。飯富村・柳河村・国田村(水戸市)、勝田村(ひたちなか市)戸田村(那珂市)、幸久村(常陸太田市)、三妻村地方(常総市)が産地である。昔は水郡線の駅に牛蒡の荷物が積んであったものだ。
葱は上大野村(水戸市)、日立町,川原代村、文村(利根町)、久賀村(取手市)の根深太葱、勝田村の二反田葱などがあげられている。現在貴重なものしては、城里町桂の赤葱がある。
甘藷は前渡村(ひたちなか市)の飯郷(甘藷切干)夏海村(大洗町)の大正薄赤、名崎村(古河市)の紅赤、新郷村(古河市)の大白、東村(土浦市)、朝日村(阿見町)の川越薄赤、大村(筑西市)の紅赤大白などがある。現在はひたちなか市の乾燥いもが有名で、芋焼酎の原料にもなっている。
ウドは神崎村(那珂市)の赤芽土當帰、片倉村(小美玉市)の早生ウド、香取村(古河市)の寒ウド、古河町の白茶ウドがあげてある。神崎村は組合が共同出荷していた。
白菜は上大野村・下大野村・柳河村(水戸市)など那珂川流域の圷といわれる、低地が栽培に適していて、茨城白菜として、全国にしられている。新郷村・香取村・桜井村・勝鹿村・八俣村(古河市)、神大實村(坂東市)も有名な茨城白菜の産地である。
凍菎蒻は、田を利用するので、副業の性格がある。本来、諸富野村(常陸大宮市)地方や高倉村・天下野村(常陸太田市)で作られていた。現在、天下野の一軒が昔ながらに作り、最近、大子町でも製造している。
ここで紹介したのは、昭和十二年のことだが、現在もそのブランド名は残っている。これからも大切に育てたいものだ。