○第165回談話会
日 時 令和7年6月29日(日)午後1時50分から
場 所 茨城県水戸生涯学習センター 中講座室
発 表 「民俗地図」から考える茨城の地域性
発表者 萩谷 良太さん(本会会員・土浦市立博物館学芸員)
発表要旨
民俗学の方法論のひとつとして、「民俗地図」あるいは「民俗分布論」をめぐる議論が、近年活発になっている。特定の民俗事象が、なぜ一定の地域にまとまりをもって伝承されてきたのか。そこには地理的環境や歴史的条件、社会組織のあり方など様々な要因が想定される。
特定の民俗事象が形成された背景を考える上でも、その分布状況を把握し分析を行うことは重要である。そのための具体的な研究手法として、「民俗地図」(民俗分布図)の作成があげられる。
本報告では、既往の調査成果や先行研究を参照しながら、浜降り・庚申講・ささら・伝統花火など、茨城県下の特徴的な民俗事象の分布を示す「民俗地図」を提示し、それぞれの事象がもつ「地域差」を確認していくことから始めたい。とくに、「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」(国選択無形民俗文化財)に選定され、令和四年度に茨城県下の悉皆調査の報告書がまとめられた「盆綱」については、均質かつ膨大なデータの収集により、精緻な分布図を描くことができるようになった。
これらの「民俗地図」の作成を通して、どのような地域的特性を把握できるのか、また民俗事象の成り立ちを考察できるのか、今後の展望を含めて報告したい。
※ 一般の方の聴講無料です(48名まで先着順)。
なお車の方は、三の丸庁舎駐車場(旧県庁入口入り東側)に駐車してください。
(台数に限りありますが聴講者無料)